私のインナーチャイルド療法体験       
 

象徴的イメージ統合療法の中には、インナーチャイルド療法も含まれています。ここでは、私が最初に劇的に癒されたインナーチャイルド療法の体験をご紹介いたします。二十数年前の体験です。




若い頃私は、ごく普通に生活を営んでいましたが、自分自身への価値観がかなり低い人間でした。(その頃はそれがあまりわかっていませんでしたが・・・)それから、なぜかがっちりした男らしい雰囲気の体育会系の男性がどこか苦手で、そのような人の前に行くと萎縮したり気後れするところがあって、これは自分がおかしくて弱いのかもしれないとなんとなく思っていました。原因として思い当たることも感じてみましたが、わかりませんでした。




そんな思いも年齢を重ねるごとに徐々に軽くはなっていましたが、どこかで取り切れないところがありました。そしてある時、なぜそう思っていたのか、なぜそんな感覚を感じていたのかその原因がはっきりとわかり、まだ残っていたその思いと感覚がほとんど消えてしまいました。




それが、インナーチャイルドセラピスト養成講座を受けた時の生徒同士の実習の時でした。その中で、私の場合、なぜだか胎児の頃の自分が出てきたので、不思議に感じながらも、その子に向き合いました。いきなり胎児の自分が勝手に出てくることはほとんどないのですが、私の場合は出てきました。後で書いていますが、そこにはやはり理由があったのです。




目をつむって何となく浮かんでくるイメージを待っていると、体を曲げ、手足も曲げたあの胎児の格好をした自分自身が浮かんできて、その体の中にいて感じている感覚が出てきました。感覚はなんとなくそんな感覚がするという感じなのですが、明らかにそこから色々なものが伝わってきました。




そして、おなかの外を感じてみるとびっくりしました。なんと、父親が右斜め前にいて(その方向にいることが感覚的にハッキリとわかりました)、私が生まれてくるのを喜んでくれているのが、疑いもなくこれもハッキリと、その父の方から伝わってきたのでした。



それを感じたとたんに、涙がたくさん出てきました。父が喜んでいてくれたことがなんだかとってもうれしかったのです。ひとしきり涙を流したあと急に、頭の先から足の先まで何かが解けて流れていく感覚が出始めました。




しばらくそれを味わい、その後目を開けると、生まれて初めて感じるようなとっても心地よくしあわせな感じに包まれていました。そして、なぜか「自分はもう自由なんだ!」という思いが後から後からおなかの底から湧き上がってきました。




それともう一つ不思議な感覚もありました。この実習では床に横になって受けていたのですが、私の上の方から強い光が降りてきて、床に体が沈み込んでいくぐらいのエネルギーを感じました。その後、光を浴びながら体がおなかの辺りを中心にして回転する感覚もリアルに感じました。




この体験をしてから、日常の些細なことでもよろこびを感じられ、すべてのことがうれしくて、未来が360度開いた感覚で、心の底から自由な感覚が出て来ました。これが実習の1回目の短い時間の中で起こりました。この感覚は、家に帰ってからも消えることなくずっと続きました。




そして、なんでおなかの中から父が生まれてくることをよろこんでくれているのを感じただけのことで、ずっと持ってきたものが取れたのかを感じてみました。思い当たったのは、大人になってから母から教えてもらったことでした。




『お前、今だから言うけどおなかの中にいるときに堕そうと思ったことがあるんだよ。手術台まで上がったがどうしても産みたくて帰ってきたんだよ』と。実は、堕そうということになった原因は父だったようです。
(ただ父も積極的に堕すことを決めたわけではなく、不可抗力の要因でした)だから、その父から生まれてくるのを喜んでもらえていることがとってもうれしくて、いらない子のように感じていた無価値感が消えたのでした。




妊娠されているお母様方。そして、これから子どもを産みたいと思っている女性の皆様。
子どもはおなかの中でちゃ〜んと聞いていますよ。胎教はとても有効な手段です。おなかの子にしっかり声をかけてあげて下さいね。「来てくれてありがとう。大好きだよ」と、いっぱいいっぱい声をかけてあげてください。




この父は、私が3歳の時に亡くなりました。小さかったので顔も覚えていません。だから、大きくなっても自分の中に父という存在がまったくありませんでした。1%の存在もなく0%だとずっと感じていましたが、特に悲しいこともまったくなく、知らないからそんなものだと思っていました。




それから、胎児のチャイルドを癒した後のある時、(人にセッションを行うようになったことで、やり方やその感覚がしっかりと分かったので)自分一人でチャイルドを癒してみようとイメージをしていきました。




父を亡くした3歳の頃の自分に会おうと思ったのです。3歳のチャイルドが出て来てくれたので、その子に向き合って手を握ってあげました。意識を集中すると、その子から伝わってきたものにとても驚きました。それは、「お父さん大好き!もっと触れあってもらいたかった!」でした。




子供の頃から大人になるまで、自分の顕在意識ではそんな風に思ったことが一度もなかったので、とてもびっくりすると共に、そう感じているチャイルドを抱きしめてあげました。しばらく、たくさんの涙が出ました。「そうか。そう感じていたんだね。さみしかったね」としっかりその子を抱きしめてあげました。




するとまた、とっても驚くことが伝わってきたのです。それは、『お兄ちゃんがいるから、僕なんていいや』というチャイルドの言葉でした。それがリアルに伝わってきたのです。この思いこそ、それまで一度も脳裏をかすめたことすらなくて、こんな思いがあったんだと衝撃を受けました。




その子をしばらく感じていてわかったことは、「父に兄は大事にされていたが自分は大事にされなかった。父から大事にされなかった自分は、自分のどこかが悪いんだ。父から大事にされないそんな自分には価値がない。価値のない自分はいらない子。そんな自分は嫌い」・・・と。




そうやって3歳の自分が自分の価値観を無くして、自分を嫌いになっていったのが手に取るようにわかりました。これが、心の奥深くに隠されていた無価値感を感じる原因だったのです。




やっと見つけてあげたその子を大人の自分も嫌いだったはずなのに、その子の奥にあった「悲しい」という感情が伝わってくると、自然に強い共感が起こり、いても立ってもいられなくなり、その子をしっかりと抱きしめ受け入れてあげました。「大人の自分が見つけてあげたよ。見つけてあげたからもうこれからはどんな時もず〜っと一緒だよ。もう一人じゃないよ。大人の自分は、お前のことが大好きだよ。とっても愛おしい大切な子だよ」と心からの思いをいっぱい伝えてあげました。そうすると、その子はとっても喜んで満たされたのです。




子どもは、親から受け入れられなかったと感じた時には、例外なくみんな、『自分が悪い』と思います。これが子どもの反応パターンなのです。たとえ絶対にその子は悪くない状況でも、子どもは必ず「自分のせいだ」と思い込みます。




心の奥底にこの『自分が悪い』という罪悪感、自己否定感を残していると、その人は無意識のうちに、自分がしあわせになることを選択しなくなり、驚くことにしあわせにならないように行動しはじめるのです。




そして、もう一つびっくりしたことがあります。この子に会うことで、体育会系の人がなぜ苦手だったのかがはじめてわかりました。それは、父は社会人野球の県内でも有名な選手だったので体育会系の人でした。




その子が体育会系の体のがっしりとしたその父から受け入れてもらえなくて自分の価値観を無くしていったので、体ががっしりした体育会系の感じの人を見ると、その人に父をダブらせて投影していたのです。だから、体育会系の人の前にいると無意識に、父の前で感じていたのと同じように自分への無価値感が出て萎縮や気後れをしていたのがはっきりとわかりました。




とても興味深いことに、そんな思いも持った原因の3歳のチャイルドを癒してあげると、私の中にまだ少し残っていた体育会系の人への苦手意識がまったくなくなってしまったのです。それをなくそうと何かをしたわけではないのに、過去の自分を受け入れて癒していくことで勝手に消えてしまいました。




(セッションで自分を癒していくと、このような感じで、対人関係・人間関係も努力するわけではないのに、自然に楽に対応できるようになります。また、心の影響からきている身体の不調でしたら、心のトラウマを癒していくことで治ってしまうこともあります。何年来何十年来持っているぜんそくや偏頭痛などが結果的に直ってしまう人もおられます)




私自身のこの経験から、人は顕在意識で感じているものと潜在意識で感じているものが、いかに違っているのかが、身をもってわかりました。「頭の言い分」と「心の言い分」は違うのです。頭ではまったく感じていなかったことが、心の深くにアプローチをするといっぱい出てきます。これはセッションに当たらせていただいている中でずっと経験してきたことです。




人は、そんな頭では忘れているような過去の出来事に、下手をすると死ぬまで影響されてしまいます。




過去として終わっているはずのことが、「心」には、その時の『感情』が処理されずに未消化のまま残ってしまいます。そして、「脳」には、その時の『感覚』がそのまま残ってしまいます。出来事は完全に過去に終わってしまいましたが、『感覚』と『感情』は寸分違わずその当時のそのまんまの状態で「脳」と「心」の奥深くに残ってしまいます。




それは、ほとんどの場合、子どもの頃の親との関係からはじまります。
(基本的には、核となるトラウマは母親との関係で負います。私の場合も、母親から安心感をもらえていたら、父親とのトラウマはこれほど大きなものとはなっていませんでした。母とのトラウマのことはまたの機会に。しかし、核ではなくても、癒すことでものすごく楽になりました)




見ないように心の奥に抑圧していたその当時の思い・感情が出てくれば、その思いがよく伝わってきて共感できるので、たとえ嫌いなチャイルド(自分自身)であったとしても、まったく自然に受け入れて愛してあげることができます。というか、自然にそうしたくてしょうがなくなります。




セラピストはクライアントさんが自分の思い、感情を感じられるように安全に流れをつくりさえすれば、クライアントさんは自分で自分自身を癒して、受け入れて、愛することが自然にできはじめます。




私の仕事は、クライアントさんが自分の心に向き合うのをお手伝いすることだけです。そうすれば、その人は自然に自分で自分自身を慈しみ、愛することができるようになります。




自分が自分に向き合ってあげなければ、そうしなければ、人は真の意味で自分自身にはなれないのですから・・・。




それができると、自己との同調が図られ、自分の内側のとても深い部分と繋がれるようになります。そこは本来持って生まれてきたゆるぎのない「魂の輝き」があり、繋がると直感力、精神性が飛躍的に上がって、本来の私たちの姿・ほんとうの自分に立ち還られるようになります。




一人でも多くの方が、ほんとうの自分(本来の輝き)を取り戻されますことをお祈りいたします。






 
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